猫の集会によそ者が
【猫の集会によそ者が】
ニャーニャーニャーニャーと深夜2時に猫の声が聞こえてきました。何だろうと見てみると5匹の猫が一箇所に集まり、何やらお話をしているのです。
良い餌場はあったか?
餌をくれる人間の家を早く見つけろ!
前の主人は俺らを捨てた逃げやがったんだ
絶対にゆるさねぇ
早く次の主人を探さねえとな
この近くにはネズミがいやしねえ
鳥ばっかりだ
飼い猫はいいよなぁ
腹一杯毎日食べられて
俺らはそれを窓の外から眺めるだけだからよお
腐れ猫め!
あんなのはか弱いひよっこと同じさ
自分で獲物を狩ってこそ本物の猫というもんだ
箱の中にいる猫は玉無しのちんちくりんだ
ほっとけ
あいつらめ!
俺らだけなんで捨てられなきゃならねぇんだ
ちきしょう
その夜、1匹の猫が家から逃げ出しました
さんちゃーん!どこいったの?
飼い主は飼い猫を探します。
しかし、見当たりません。
こんな夜に外へ走り去ってしまったもんですから、見つけ出すのは困難です。
飼い主は今夜は寝よう。
明日探そう、おしっこをしに家にまた戻ってくるだろうと思い今夜は眠ることにしたのです。
一方サンちゃんは
ここどこだ?
こんな所見たことないぞ
ん?
同じ仲間の声がする
わ!なんだ
お前俺らの縄張りに入ってんじゃねえよ
こ、こんばんわ
僕はサン
シャー、シャー
あのーみんなで集まって何してたんですか?
楽しそうですね。
ワイワイやってる声が聞こえたので来てみました。
ブシャ!
サンちゃんが野良猫に引っ掻きむしられてしまいました
痛い!
シャー、シャー、
飼い猫の分際で俺らの縄張りに入ってくるな!
いつも呑気にご飯を食べて、寝てやがる猫め!
痛い目見せてやる!
シャー!
5匹に追われてしまいます。
なんで?なんで?僕が傷つけられなきゃいけないんだよ
早い!
あいつらいつも外で走ってるから僕なんかより足が速いんだ
まずい追いつかれる
ターンを決めて、かわします
あれ?
追ってこない
ゼーゼーゼー
腹減った…
お腹が空いてて体力が落ちてるんだ
危なかった
あのままだと追いつかれていた所だよ
タッタッタッタツ
にゃ、にゃ、にゃ、にゃ
ん?
飼い主は窓の外でカリカリする音を聞きます
何だろう?
カーテンを開くと
サンちゃんが焦った表情でカリカリしていました
サンちゃーん!
帰ってきたの
どこ行ってたのよ
お帰り
大変!傷だらけじゃない!
血が出てるわ!早く消毒しなきゃ
ぎゃー、にゃー
包帯ぺたりのさんちゃん
はいこれで大丈夫
もう安心して寝れるわ
さんちゃんは今日は檻の中で安静にしてね
バシン
その後、サンちゃんは外へ逃げ出さなくなりました
サンちゃん何見てるの?
二階の窓からいつも見ている景色、そこはあのおぞましい猫の集会が行われていた場所なのでした。
にゃーお
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